デンマークギャンビットとは、1.e4 e5 2.d4 exd4 3.c3 で始まる白がポーンを差し出して、攻めの速さを買う激しいオープニングです。 ギャンビットとは、ポーンなどを差し出して代わりに速い攻めを得る指し方のことです。デンマークギャンビットはその中でも思い切りがよく、ポーン2枚を渡して2本のビショップを長い斜めの道に通します。当たれば一気ですが、正しく受けられると見返りが足りません。
この記事でわかること
- デンマークギャンビットの意味と、
3.c3でポーンを差し出す狙い - 名物の形
3...dxc3 4.Bc4 cxb2 5.Bxb2で何が起きているのか - 黒の最善の受け方(
5...d5のシュレヒター・ディフェンス) - 白の狙い・黒の狙いと、初心者がこの形で学べること
1.e4 e5 2.d4 exd4 3.c3 まで進んだ局面。この形が出発点です。
デンマークギャンビットとは?意味と狙いを一言で
ねらいは「ポーンを渡して攻めを買う」。 デンマークギャンビットの狙いは、ポーンを差し出す代わりに駒の働きを最大にすることです。Bc4はf7を、Bb2は長い斜めの道からg7方面をにらみます。黒がキングを囲う前にこの2本が通っていると、黒は防ぎながら駒を出すという難しい仕事を背負います。狙いは駒得ではなく、時間と視線です。
歴史と名前の由来:デンマークの棋士たちが広めたことから
名前の由来は、この指し方を熱心に用いたデンマークの棋士たちです。19世紀の国際大会でデンマークの棋士が使ったことから、この呼び名が広まったと伝えられています。ドイツ語圏では「北欧ギャンビット」と呼ばれます。20世紀初めにはドイツの名手ジャック・ミーゼスが得意にし、攻撃的な指し方の代表例として知られました。その後、黒の正しい受け方が整理されたため、トップの舞台ではほとんど見られなくなりました。ただし持ち時間の短い対局やクラブレベルでは、今も強力な奇襲として生き残っています。
手順と分岐点:代表的な枝分かれ
基本の手順は 1.e4 e5 2.d4 exd4 3.c3。 ここから先、下のような分かれ道があります。
| 分岐の名前 | 手順 | どんな狙い? |
|---|---|---|
| 二枚捨ての本命 | 3...dxc3 4.Bc4 cxb2 5.Bxb2 | ポーン2枚を渡して、ビショップ2本を長い道に通す名物の形。白の理想形です。 |
| シュレヒター・ディフェンス | 5...d5 | 黒が1枚返して中央を止める、もっとも確かな受け方。白のビショップの視線を切るのが目的です。 |
| 一枚だけ捨てる形 | 3...dxc3 4.Nxc3 | 白が控えめに1枚だけ渡す形。攻めは遅くなりますが、無理がなく安全です。 |
| 受けずに反撃 | 3...d5 | 黒がポーンを取らず、中央にぶつけて返す指し方。白の狙いを最初から外せます。 |
| 考え方が似たギャンビット(スミス・モラ) | 3...dxc3 4.Nxc3 Nc6 | 似た考え方のギャンビットにつながる形。中央での駒の働き方を学べます。 |
白がポーン2枚を渡し、ビショップをc4とb2に置いた局面です。Bc4はf7を、Bb2は盤を斜めに横切ってg7の方向をにらんでいます。黒はポーン2枚多いですが、キングを囲うまでの数手をどう乗り切るかが問題になります。
白の戦略・黒の戦略:おたがい何がしたい?
作戦の”やりたいこと”が分かると、指し手に迷いません。
- 白のねらい
Bc4とBb2の2本を通し、黒キングの前をにらみ続ける。Nc3→Nf3→Qb3などで、1手も無駄にせず駒を攻めに集める。- 黒が
d5と中央を止めてきたら、無理をせず駒の交換で形を整える。
- 黒のねらい
5...d5でポーンを1枚返し、白のビショップの視線を切る。- とにかく早くキングを囲い、攻められる時間を短くする。
- 攻めがやんだら、多いポーンを活かしてじっくり終盤へ持ち込む。
白が勝った名局:アレヒン vs ポマール(1943年 マドリード・時計付き同時対局)
デンマークギャンビットで白が攻めきった一局として、1943年マドリードでのアレクサンドル・アレヒン(白)とアルトゥーロ・ポマール(黒)の対戦が知られています。なお正式なトーナメント戦ではなく、複数を同時に指す形式の対局でした。
白は序盤でポーンを差し出し、2本のビショップを敵陣に向けて一直線に構えます。黒は駒得を守ろうとして駒組みが遅れ、キングを囲う時間をもらえません。アレヒンはその隙に駒を攻めに集め、押し切りました。「ポーンより駒の働き」というギャンビットの考え方が、いちばん分かりやすく出た一局です。
黒が勝つときの典型的な流れ
ここでは、黒の正しい受け方を整理します。
この変化を得意とした棋士(例:5...d5の受けに名を残すカール・シュレヒター)の特徴は、欲張らないことです。黒は取ったポーンのうち1枚を返し、中央にポーンを置いて白のビショップの道を閉じます。視線が切れれば白の攻めは急に細くなり、残ったポーン1枚の得が終盤で生きてきます。「ギャンビットは受け方を知っていれば怖くない」という見本のような考え方です。
d5と突いて道を閉じる——この一手だけでも覚えておくと、ずいぶん落ち着いて指せるよ。覚えた作戦は、実戦で使うと一気に身につきます。Chess.comなら無料で対局でき、終わったあとに棋譜を見返せます。
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- デンマークギャンビットはポーンを渡して攻めの速さを買う激しい形。
- 名物は
Bc4とBb2の2本のビショップで黒キングをにらむ形。 - 黒は
d5で1枚返して道を閉じ、早く囲えば落ち着いて戦える。
よくある質問(FAQ)
デンマークギャンビットは初心者が使っていい?
黒として指されたら、どう受ければいい?
5...d5で1枚返し、中央を止めるのが分かりやすい受け方です。そのうえで早くキングを囲えば、白の攻めは続きにくくなります。欲張って全部守ろうとしないのがコツです。ポーン2枚も渡して、本当に元が取れるのですか?
次の一歩
- ほかの作戦も見てみる → チェスのオープニング一覧【主要55種類】
- 手筋の基礎を固める → チェスの基本戦術まとめ【保存版】
- フォークを覚える → チェスのフォークとは?
ポーンの数より駒の働き——その感覚を味わうには、うってつけのオープニングです。次の対局で一度試して、攻めが続く感じと切れる感じの違いを体験してみてください。
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